セールスイネーブルメント展開ガイド
セールスイネーブルメントを通じて解き放つことができる膨大な価値が存在します。しかし、直ちに「実現不可能なことに挑む」必要はないことを念頭に置くことが重要です。最も効果的な展開プロジェクトは、販売努力の妨げになっている最も困難な問題への取り組みから始めることによって、迅速に価値を生み出します。いったんシステムが稼働し、うまく機能すれば、それを新しい分野に拡張し、社内の追加の役割をサポートすることは従来よりはるかに容易です。
展開ライフサイクル
展開を3つのフェーズに分けることが役立つことがわかっています。
開発
開発フェーズでは、プロジェクトが計画、設計、実装されます。開発中に問題を引き起こすことが多い2つのありがちな誘惑があります。
スコープクリープの問題
開発中はプロジェクトを拡張し続けたいという強い誘惑にかられます。ソリューションを構築していると、ほとんど必ず、当初は考えられなかった新しいコンテンツや「あと少しだけ」コンテンツを追加すれば対処できる組織内の新しい役割が発見されます。
コンテンツイニシアチブの完了を待機してしまう問題
当社がソリューションの構築をお手伝いした事実上ほとんどすべての企業が、既存のコンテンツを改良すること、またはセールスチームが必要とする素晴らしい新しい素材を開発することを目指す進行中の何らかのイニシアチブを抱えていました。「<コンテンツイニシアチブ>が完了するまで待った方がいいかもしれない…完了すればコンテンツが今よりずっと良くなるのだから!」
待機しないこと、そしてスコープが当初の目標から大きく逸脱しないように注意することを強くお勧めします。コンテンツの改良を目指す進行中のイニシアチブや計画中のイニシアチブは必ず存在します。強固なプラットフォームが形成されていれば、それらの取り組みが容易になり、効果的になる可能性がはるかに高くなります。既に展開されており、稼働していて、うまく機能しているソリューションにコンテンツを追加する方がはるかに簡単です。注力すべき最も重要なコンテンツを選択し、現在あるものから取り組みを開始してください。たいていの企業は自社のコンテンツを収集し、整理するプロセスをクリーンアップと削除を行う良い機会として利用します。これは、コンテンツをまとめることのプラス面の副作用です。しかし、新しいクラスのコンテンツが開発されるまで待機しないようにしてください。当社の経験では、開発が予想以上に長引くことはよくあります。
ローンチ
ローンチフェーズでは、ユーザーコミュニティがソリューションを利用できるようにします。ソリューションをロールアウトすることに夢中になるあまり、企業が検証と研修をおろそかにすることはよくあります。それらを省略すると、ソリューションの有効性が本来のレベルより低くなり、それがソリューションの採用を阻害します。本社にいる人々が考える情報を整理する方法と、現場にいる人々が実際に情報を利用する方法が少し異なることはよくあります。ターゲットコミュニティに属する専門家にトライアルユーザーになってもらうと、それらの問題が見つかり、ローンチ前にそれを修正することができます。人々がまったく研修を受けないと、採用がスローダウンし、ユーザーがソリューションを巧みに効率良く使用できるようになるまで時間がかかります。
運用
ローンチの後、企業は運用フェーズに移行します。プラットフォームに組み込まれたアナリティクスシステムを利用することによって、企業はプラットフォーム上で利用可能なコンテンツを管理することができ、それによってセールスサイクルを最適化するためのデータ駆動型のアプローチへ移行し始めます。企業がまずプラットフォームを使用して自社のコンテンツをより効率的に管理することから始めると、ソリューションの運用に成功する確率が高くなることがわかっています。次に、企業は使用率とパフォーマンスのさまざまな分野を分析し始めます。企業は、さらに、分析によって得られたインサイトを利用して、自社のコンテンツと投資を最適化します。
最初の成功を足掛かりにする
既に説明したように、最もビジネスインパクトが大きい最も重要な問題に集中することから展開を始めることを強くお勧めします。たとえば、成長中の組織が、「営業担当者が必要とするコンテンツを見つけられない」、「冗長なデータ素材や陳腐化したデータ素材が多くの場所に分散している」など、コンテンツの大きな問題を抱えていることはよくあります。したがって、最初の展開の重点は、主流の営業担当者が新規顧客にピッチを行い、商談をまとめるために必要とするコンテンツに置かれるでしょう。
基本的なソリューションが展開され、最も差し迫ったニーズに対処できるようになれば、それを拡張してソリューションの価値を高めることができます:
より完全に最初の重点に取り組む
最初の展開は最も重要なコンテンツに的を絞るべきですが、プロジェクトチームはソリューションを構築し、運用する過程で、通常、追加のリソースを発見します。すべてが稼働し始めたら、チームは情報を追加して、システムを完全な状態に近づけることができます。海外の子会社、あるいは特定のタイプの顧客やパートナーに特化したチームなど、独自のコンテンツ要求事項を持つ専門チームが存在することはよくあります。
現在のターゲットオーディエンスの追加のニーズをサポートする
セールスコンテンツが最も差し迫ったニーズであることはよくありますが、ニーズはセールスコンテンツに限られません。たとえば、営業担当者が系統立った新人教育プログラムや研修プログラムを必要とする可能性もあります。セールスコンテンツ向けのソリューションが稼働したら、次のステップは既にシステム上に存在するユーザーの他のニーズに取り組むことになるでしょう。企業は新しい従業員向けの研修と、すべての営業担当者がスキルと知識を強化するために利用できる研修/認定プログラムを追加する可能性があります。
拡張して他のチームを含める
企業はアカウントマネージャー、コンサルティングサービス、カスタマーサクセスなど、他の顧客対応チームのニーズにも取り組みたいと考える可能性があります。それらのチームは、通常、主流の営業担当者を対象とした素材の一部を利用しますが、それぞれの役割に固有の他の要求事項も持っています。彼らは自分たちの仕事を管理するために異なるツールとサービスを使用する可能性があり、その場合は追加の統合が必要になります。
プロジェクトの期間
ソリューションをローンチするのに必要な時間は、プロジェクトのスコープおよび会社がローンチに割ける時間に大きく依存します。基本的なコンテンツと1つのセールスチームを対象とする単純なロールアウトであれば、数週間で完了させることができます。数千のアイテムと複雑なマトリックス状の販売組織を持った多国籍エンタープライズ向けのソリューションの展開には数か月かかる可能性があります。