セールスイネーブルメントのコンテンツパフォーマンス
現代のビジネスはデータドリブンの要素が強くなっています。セールスイネーブルメントソリューションを導入すれば、いつでもセールスプロセスを分析し、最適化することができます。
セールスイネーブルメントにはデータドリブン手法を適用できる3つの主な領域があります:
概要
セールスサイクル中に使用されているコンテンツを分析し、最適化するには8つのレポートが必要です。個々のレポートが重要なビジネス上の質問に答えます。これらのレポートは一体となって、企業が保有するコンテンツ、コンテンツがどのように使用されているか、コンテンツが効果的かどうか、コンテンツからどれだけのビジネス価値が得られているかの全体像を描きます。
セールスライフサイクル全体
セールスサイクルの各ステージにまたがって分析できなければ、重要な質問に回答できません。
- どの商談にコンテンツが使用されたかを知らなければ、影響を受けた収益とビジネスインパクトを測定することはできません。
- コンテンツが使用されたセールスステージを知らなければ、バイヤーズジャーニーの各ステップでコンテンツが十分に網羅されているかどうかわかりません。
アクティビティ、ローカルインパクト、ビジネスインパクト
投資が及ぼしているビジネスインパクトを測定することが最終的な目標です。つまり、目標は、たとえば「私はXドルをこのケーススタディに費やした。このケーススタディはいくらの収益を生み出したのか」という問いの答えを知ることです。そうはいっても、収益を生み出す過程のステップを測定することによって、中間的なメトリクスは重要なインサイトを生成します。
アクティビティメトリクスは目的とするビジネスインパクトが得られていない理由を診断することに役立ちます。特定のコンテンツが価値を押し上げていないのは、誰もそのコンテンツを見つけられないからかもしれないし、セールスレップがそのコンテンツに価値がないと思っているからかもしれないし、あるいは、そのコンテンツを無視する顧客に対してコンテンツがピッチされているからかもしれません。問題を修正する方法は、解明された理由によってまったく異なります。したがって、アクティビティメトリクスの把握を怠ってはいけません。アクティビティメトリクスはすべての原因を解明できるわけではありませんが、原因の重要な一部を解明してくれます。
多くの場合、ローカルインパクトの測定は、それより精度が高くなります。たとえば、5か月間のセールスサイクル中に特定のコンテンツを顧客に送るとします。そのコンテンツは商談の成約にどの程度重要な役割を果たしたでしょうか。それは要因によって異なります。商談が成約に至るかどうか、成約までにどのくらい時間がかかるかに影響を及ぼす要因はたくさんあります。ただし、1つのコンテンツのインパクトは、特定のセールスステージでコンテンツが送られたときに、はるかに大きくなります。出来の良いピッチデッキは、それだけで商談を成約させるわけではありませんが、商談をセールスサイクルの次のステージへ移行させる明確に測定可能な効果を持っています。そして、出来の悪いピッチデッキは、特に経験の浅いセールスレップが使用すると、またたく間に商談をぶち壊します。したがって、セールスステージ内およびセールスサイクル全体にわたってコンテンツを測定し、最適化することが非常に重要です。
コンテンツは進化する
購入者のライフサイクルの早いステージでは、マーケターが完全なコントロールを持っているコンテンツを使用してオーディエンスと直接結び付きます。しかし、それより後のセールスチームが登場するステージでは、その「完全なコントロール」が失われます。コンテンツは組織内のフィルターを通過する過程で、本社のマーケティング部門から現場のマーケターおよび営業担当者へ移動し、最終的に顧客のもとに届きます。その過程で、コンテンツはリミックスされ、並べ替えられ、組み替えられながら変化し、進化します。多くの組織では、顧客に提示されるコンテンツの最大80%が修正されます。コンテンツは個々の販売状況のニーズに応じて現場によってカスタマイズされます。アナリティクスシステムは、コンテンツがどのように進化したかにかかわらず、コンテンツを追跡する能力を持っている必要があります。システムは、コンテンツ間の関係を検出することによって、コンテンツの真のパフォーマンスとビジネスインパクトを明らかにします。それができなければ、大半のデータが元のコンテンツと関連付けられないため、視界から消えてしまいます。
段階を追ってビジネスを最適化する
クローズドループなセールスイネーブルメントソリューションが導入されたら、その機能を生かして顧客とのエンゲージメントを強化し始めることができます。企業は、通常、基本からスタートし、時間をかけてデータドリブン手法をセールスプロセス全体に適用して、セールスプロセスを分析し、最適化することがわかっています。
以下は、企業がシステムのアナリティクス機能を適用するときにたどる典型的な道筋を示しています。
最初のステップは、最初の2つのレポートのセットを利用した「管理済み」成熟度フェーズへの移行です。営業担当者がシステムを使い始める前でも「アセット管理」を直ちに実行できます。セールスコンテンツをシステムに組み込む過程で、企業は自社の立ち位置を確認することができます。「コンテンツの鮮度」は、古いため削除またはアップデートする必要があるコンテンツを示します。「コンテンツの網羅性」は、コンテンツが不足している領域または非常に少ない領域を明らかにします。
営業担当者がソリューションを使い始め、分析用のデータが利用できるようになったら、次のステップは「アクティビティの追跡」です。これらのレポートは、どのコンテンツが実際にセールスチームによって社内で使用されているか、どのコンテンツが顧客にピッチされているかを示します。営業担当者が比較的短い期間しかシステムを使っていない状態でも、レポートは興味深いパターンを示し始めます。結果がまったく予期しないものになることはよくあります。たいていの企業では、ごくわずかなコンテンツが頻繁に使用され、大多数のコンテンツが無視されます。
この時点で企業はコンテンツを適切に整理し、コンテンツの重大なギャップを埋める作業を開始しており、コンテンツを作成している担当者は、どのコンテンツが使用されているかを明確に把握しています。したがって、次の成熟度フェーズへ移行し、会社をデータドリブン型組織へ変革する準備が整っています。「コンテンツのエンゲージメント」レポートは、コンテンツが顧客の目の前に置かれたときに実際にどれだけの成果を挙げるかを示します。そのデータは、商談の成約を手助けするコンテンツを営業担当者に推奨することを可能にし、マーケティングチームはそのデータを利用してコンテンツへの投資を優先順位付けします。「コンテンツの比較」は、営業担当者が元のコンテンツをどのように修正し、再パッケージ化しているかを示し、ベストプラクティスおよび配慮が求められる領域を明らかにします。
最後に、「最適化済み」成熟度フェーズへ移行します。このフェーズのキーレポートは、すべてビジネスインパクトに集中します。マーケターはコンテンツが業績に及ぼすインパクトの測定値に基づいてコンテンツ投資のROIを算出でき、ROIが投資を主導するモデルへと移行することができます。
分析の目的はアクションを促進すること
グラフや表は目的を達成するための手段にすぎません。目標は、収益を増大させ、商談サイクルを早める手段として顧客とのエンゲージメントを強化することです。8つのキーレポートのそれぞれが重要なビジネス上の質問に回答し、どう行動すべきかわかるように、重要な問題と機会を特定します。
エンゲージメントはセールスコンバージョンの活力源であり、無関心な顧客は商談が失敗する要因です。情報過多の時代に生きている企業は、コンテンツなしに顧客を深くエンゲージすることはできません。これらのレポートを使用して、バイヤーズジャーニー全体にわたる顧客とのエンゲージメントを分析し、最適化します。